2015年 01月 09日
雪ニ関スル思ヒ出 |
昨日は京都に降る雪について述べた。
そこで私は、私の学生時代の前半を修学院付近で過ごしていたと述べた。
正しい地名は修学院ではなく、一乗寺である。しかし「修学院付近」と言ったほうが、より寒そうであるからそう述べた。諸君は私が如何に気が利く男であるかということを思い知ったであろう。
さて、少しこの下宿の説明をしよう。
一乗寺の我が下宿は、白川通りをずーっと上り、曼殊院道とぶつかるところを右手に曲がった坂の中腹にあった。
「京都観光が好きだ!」という人には、詩仙堂の近くであると言えばわかるかもしれない。
「修学旅行でしか行ったことがない」という人には、おそらくなんのこっちゃらであろう。
とにかく、ただでさえ北の方に住んでいるということに加えて、更に坂の中腹に住んでいたために、大学付近に雪が降らない日でも、私の下宿の周囲には雪が積もるということがしばしばあった。
あれは大学2回生の冬であったか。
日曜日の朝、珍しく目覚めた私(※大学生という生き物は赤ん坊の次によく眠る生き物であるという事実はよく知られている)は、カーテンの隙間から入る光がいつもと異なることに気付き、外に出た。
「雪ぢゃないか!」
普段雪の降らない地域で生まれ育った人間は、雪が降ると大いにはしゃぐ。積もってしまえば尚のことである。それがたった数ミリの積雪であったとしても。
私はすぐさま、大学付近に住む友人に電話をかけた。
「おい!雪が積もっているぞ!今すぐ来るんだ!いや、寝ないで。…そう、こっちは積もってるんだ。え?自転車が撤去された?大丈夫大丈夫。」
30分後、友人は走ってやってきた。だがそれも、雪のためなら仕方がなかろう。
斯くして成人式をつい最近終えたばかりの大学生ふたりは雪原に降り立った。その雪原は元々数ミリの積雪であったから、大半が融けていた。しかしそんなことはお構い無しに、我々は残り少ない雪をかき集める。早朝の住宅街に阿呆二人。
「近所のちびっ子たちが起き出してくるまでの勝負だ!この付近の雪は俺達のものだ!」
成人式を経て、大人の責任感というものをひしひしと感じていた私たちは、大人としてちびっ子たちに負けるわけにはいかないと義務感の炎に燃えていた。実に模範的な成人であった。
「でっかい雪だるまをつくろう!」
我々は除雪車も裸足で逃げ出すほどの獅子奮迅の働きをした。やがてそこにはひとつの大きな雪だるまが出来上がり、代わりに辺り一帯の雪は綺麗さっぱりなくなったのであった。
以上が私の、雪に関する思い出のひとつである。
写真は、1月3日建仁寺にて撮影。
この日の京都は、61年ぶりに20cmを超える積雪があった。
そこで私は、私の学生時代の前半を修学院付近で過ごしていたと述べた。
正しい地名は修学院ではなく、一乗寺である。しかし「修学院付近」と言ったほうが、より寒そうであるからそう述べた。諸君は私が如何に気が利く男であるかということを思い知ったであろう。
さて、少しこの下宿の説明をしよう。
一乗寺の我が下宿は、白川通りをずーっと上り、曼殊院道とぶつかるところを右手に曲がった坂の中腹にあった。
「京都観光が好きだ!」という人には、詩仙堂の近くであると言えばわかるかもしれない。
「修学旅行でしか行ったことがない」という人には、おそらくなんのこっちゃらであろう。
とにかく、ただでさえ北の方に住んでいるということに加えて、更に坂の中腹に住んでいたために、大学付近に雪が降らない日でも、私の下宿の周囲には雪が積もるということがしばしばあった。
あれは大学2回生の冬であったか。
日曜日の朝、珍しく目覚めた私(※大学生という生き物は赤ん坊の次によく眠る生き物であるという事実はよく知られている)は、カーテンの隙間から入る光がいつもと異なることに気付き、外に出た。
「雪ぢゃないか!」
普段雪の降らない地域で生まれ育った人間は、雪が降ると大いにはしゃぐ。積もってしまえば尚のことである。それがたった数ミリの積雪であったとしても。
私はすぐさま、大学付近に住む友人に電話をかけた。
「おい!雪が積もっているぞ!今すぐ来るんだ!いや、寝ないで。…そう、こっちは積もってるんだ。え?自転車が撤去された?大丈夫大丈夫。」
30分後、友人は走ってやってきた。だがそれも、雪のためなら仕方がなかろう。
斯くして成人式をつい最近終えたばかりの大学生ふたりは雪原に降り立った。その雪原は元々数ミリの積雪であったから、大半が融けていた。しかしそんなことはお構い無しに、我々は残り少ない雪をかき集める。早朝の住宅街に阿呆二人。
「近所のちびっ子たちが起き出してくるまでの勝負だ!この付近の雪は俺達のものだ!」
成人式を経て、大人の責任感というものをひしひしと感じていた私たちは、大人としてちびっ子たちに負けるわけにはいかないと義務感の炎に燃えていた。実に模範的な成人であった。
「でっかい雪だるまをつくろう!」
我々は除雪車も裸足で逃げ出すほどの獅子奮迅の働きをした。やがてそこにはひとつの大きな雪だるまが出来上がり、代わりに辺り一帯の雪は綺麗さっぱりなくなったのであった。
以上が私の、雪に関する思い出のひとつである。
写真は、1月3日建仁寺にて撮影。
この日の京都は、61年ぶりに20cmを超える積雪があった。
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by Harimabirder
| 2015-01-09 20:23
| 京都