2015年 01月 10日
Harima氏、服を買う |
私だってルリビタキが撮りたい。オジロビタキが撮りたい。蓮の池の様子だって、年が明けたら見に行ってみようと考えていた。
しかし今日は一寸良い服を買いに行かねばならなかった。明日は京都に行かねばならないし、明後日はもっと重要な予定がある。来週の土日はと言うと、学生時代の友人たちと白川郷に行く予定であるから、益々野鳥が撮りに行けない。
ともかく、今日は服を買わねばならなかった。
Harima氏は、服を買うのが大嫌いである。服に金を費やすくらいなら、カメラの機材や書籍に費やしたいと常々考えている。
では普段、Harima氏は何を着ているのか?
月曜日~金曜日はスーツを着ている。
つまり私服を着る必要があるのは土日だけであるから、Harima氏は、「二通りの組み合わせがあればそれでよい。」と考えている。
服などというものは人間の皮相を飾り立てるものにすぎない。お洒落だからといってその人間の本質的魅力には何の影響も与えない。そもそも私は、利尻昆布の如く内面から知性とカリズムが滲み出るような男であるから、無理に飾り立てずとも道行く乙女は皆私にメロメロになるはずである。そうでない乙女には見る目が備わっていないと断じてよかろう。見る目のない人間などこちらから願い下げであるから、私がすべての乙女の愛情を一身に集めているという事実は、至極論理的に導かれるアタリマエの事実と言えよう。
そんな、どこに出しても恥ずかしくない男である私であるが、服屋だけはどうしても苦手である。
服屋に一歩踏み入れば、そこでは知性もカリズムも通用しない。お洒落さだけが人間の指標となる。出来ることならばそんなところには行きたくないが、私だってちゃんとした服を着なければならないこともある。嫌だ嫌だと言っても、私は器の大きな男であるから「仕方がないな~」と、今にも消え入りそうな声で呟きながら服屋に立ち入ったわけである。
「しまった!」
店員のお洒落なお兄さんの前に立った途端、私は後悔した。
ここは服屋。お洒落さだけが人間の指標となる戦場である。私の知性もカリズムも通用しない。言わば敵の土俵に立ったも同然である。
「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
店員のお洒落なお兄さんは、実に爽やかな笑顔でそう言うと私の全身を上から下までサッと眺めた。
(ぐぬぬ、ダサい眼鏡、よれよれのシャツ、ユニクロのジーンズを見て馬鹿にしているに違いない!しかしこの靴は先週買い換えたんだぞ!えへん!)
私は用向きを伝えた。店員のお洒落なお兄さんは、綺麗な姿勢を保ったまま颯爽と店内を歩き回り、おすすめの服を提示する。私は、よちよちとお兄さんの後ろを付いて回る。
(良い気になるなよ!私は、世が世なら一国一城の主たるべき大人物であるぞ!汝が我が服装を馬鹿にするならば、私は今すぐ全てを脱ぎ捨ててやっても構わない。そして私の「人間」そのものを見て圧倒されるがよい!)
何度も繰り返すが、私は器の大きな男である。だから内心で思っていることなどこれっぽっちも表に出さず、店員のお洒落なお兄さんの発言ひとつひとつに愛想よく相槌を打ち、よちよちと後ろを付いて回るのである。
店員「…ですから、これなんかが似合うと思いますね。そしてこのシャツには、このジャケットが…」
私「なるほどなるほど」
斯くして私は、当初の予定の三倍もの買い物をし、内面のみならず外面までもモテモテナイスガイとなったのであった。
写真は建仁寺の茶室で撮った羊さん。
羊は十二支の中で一番可愛いのではなかろうか。
その日建仁寺の茶室では初釜をやっていて、そこで出てきたお菓子が実に美味しかった。お菓子について尋ねると「うず」という菓子で、建仁寺のためだけに発注して作って貰っているということだった。菓子の形状から察するに、「渦」であると思われる。建仁寺を訪ねられた際は、是非茶室へ。美味しいですよ。
しかし今日は一寸良い服を買いに行かねばならなかった。明日は京都に行かねばならないし、明後日はもっと重要な予定がある。来週の土日はと言うと、学生時代の友人たちと白川郷に行く予定であるから、益々野鳥が撮りに行けない。
ともかく、今日は服を買わねばならなかった。
Harima氏は、服を買うのが大嫌いである。服に金を費やすくらいなら、カメラの機材や書籍に費やしたいと常々考えている。
では普段、Harima氏は何を着ているのか?
月曜日~金曜日はスーツを着ている。
つまり私服を着る必要があるのは土日だけであるから、Harima氏は、「二通りの組み合わせがあればそれでよい。」と考えている。
服などというものは人間の皮相を飾り立てるものにすぎない。お洒落だからといってその人間の本質的魅力には何の影響も与えない。そもそも私は、利尻昆布の如く内面から知性とカリズムが滲み出るような男であるから、無理に飾り立てずとも道行く乙女は皆私にメロメロになるはずである。そうでない乙女には見る目が備わっていないと断じてよかろう。見る目のない人間などこちらから願い下げであるから、私がすべての乙女の愛情を一身に集めているという事実は、至極論理的に導かれるアタリマエの事実と言えよう。
そんな、どこに出しても恥ずかしくない男である私であるが、服屋だけはどうしても苦手である。
服屋に一歩踏み入れば、そこでは知性もカリズムも通用しない。お洒落さだけが人間の指標となる。出来ることならばそんなところには行きたくないが、私だってちゃんとした服を着なければならないこともある。嫌だ嫌だと言っても、私は器の大きな男であるから「仕方がないな~」と、今にも消え入りそうな声で呟きながら服屋に立ち入ったわけである。
「しまった!」
店員のお洒落なお兄さんの前に立った途端、私は後悔した。
ここは服屋。お洒落さだけが人間の指標となる戦場である。私の知性もカリズムも通用しない。言わば敵の土俵に立ったも同然である。
「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
店員のお洒落なお兄さんは、実に爽やかな笑顔でそう言うと私の全身を上から下までサッと眺めた。
(ぐぬぬ、ダサい眼鏡、よれよれのシャツ、ユニクロのジーンズを見て馬鹿にしているに違いない!しかしこの靴は先週買い換えたんだぞ!えへん!)
私は用向きを伝えた。店員のお洒落なお兄さんは、綺麗な姿勢を保ったまま颯爽と店内を歩き回り、おすすめの服を提示する。私は、よちよちとお兄さんの後ろを付いて回る。
(良い気になるなよ!私は、世が世なら一国一城の主たるべき大人物であるぞ!汝が我が服装を馬鹿にするならば、私は今すぐ全てを脱ぎ捨ててやっても構わない。そして私の「人間」そのものを見て圧倒されるがよい!)
何度も繰り返すが、私は器の大きな男である。だから内心で思っていることなどこれっぽっちも表に出さず、店員のお洒落なお兄さんの発言ひとつひとつに愛想よく相槌を打ち、よちよちと後ろを付いて回るのである。
店員「…ですから、これなんかが似合うと思いますね。そしてこのシャツには、このジャケットが…」
私「なるほどなるほど」
斯くして私は、当初の予定の三倍もの買い物をし、内面のみならず外面までもモテモテナイスガイとなったのであった。
写真は建仁寺の茶室で撮った羊さん。
羊は十二支の中で一番可愛いのではなかろうか。
その日建仁寺の茶室では初釜をやっていて、そこで出てきたお菓子が実に美味しかった。お菓子について尋ねると「うず」という菓子で、建仁寺のためだけに発注して作って貰っているということだった。菓子の形状から察するに、「渦」であると思われる。建仁寺を訪ねられた際は、是非茶室へ。美味しいですよ。
by Harimabirder
| 2015-01-10 20:44
| 日常